刈谷市議会 9月議会

9月1日(火)~9月25日(金)までの会期で刈谷市議会9月定例会が開催されました。今回のコロンブスレポートでは、その中で話し合われた『議案』や『一般質問』『委員会での議論』の中から、10項目について判りやすく解説して行きます。

1. 刈谷駅南口再開発公益施設の譲渡金額が確定しました

刈谷駅南口公共施設

刈谷駅南口再開発の公益施設(総合文化センターとその駐車場)を独立行政法人都市再生機構から購入する金額が確定しました。当初概算額170億円とされていましたが、工事入札の結果予定より安く施工することができ、確定額約153億円で譲渡を受けることとなりました。平成22年4月3日オープンの予定です。

2. 小中学校のテレビをデジタル式に買い換えます

小中学校にあるテレビのうち、購入後10年以上経過したものについて、デジタル式に買い換えることになりました。小学校で470台、中学校で72台が対象で、予算のうち2分の1は国の補助金が支給される予定です。が、委員会の中では「政権が交代して、未執行の補正予算は支給を凍結するとの噂もあるが大丈夫か?」との質問も出されました。確かに心配な点ですが、この原稿を書いている時点では大丈夫そうです・・・。

テレビをデジタル式に

3. 学校給食一部アレルギー除去食が始まります

学校給食

新田町に新たな学校給食センターが完成して、2学期から小学校向け約1万食の給食調理が始まっています。現在、小学生のうち何らかの食アレルギーを持っている児童は324名いますが、そのうち卵アレルギーの児童95名を対象に、来年4月から卵の除去食を開始します。
将来的には[そば][牛乳]などの対応や、[除去食]ではなく[代替食]での対応などが期待されています。

4. 市民休暇村 サンモリーユ下條 大好評です

9月議会決算認定の中で[サンモリーユ下條の利用者数と稼働率]の報告がありました。平成20年度利用者13442名、稼働率87.4%と驚異的な数字です。小泉内閣の頃「官から民へ」の掛け声により、公共施設の管理運営も民間企業で行なうことが出来るようになりました。これにより市民休暇村サンモリーユ下條も、それまでの委託から指定管理者制度と呼ばれるしくみを使って民間企業に管理運営をお任せしているのです。
このことにより[サービス向上→利用者アップ]につながっているものと思われます。そのことは数字が如実に物語っていて、指定管理者制度前の平成17年度は稼働率77.0%だったものが、制度導入以後は[84.4%→84.6%→87.4%]と着実にアップしています。

5. 通学路地下道の非常警報装置設置状況

非常警報装置

通学路に関係する地下道は39箇所ありますが、そのうち27箇所については非常警報装置が設置されています。未設置の12箇所のうち[国道にかかる地下道は7箇所][JRにかかる地下道は5箇所]となっています。
このうち[JRにかかる地下道]については、外部から見える点滅によって列車への影響が懸念され、安全性調整のため時間が掛かっていましたが、やっと合意が得られたので今年度中に設置する予定になっています。通学路に関係する地下道は39箇所ありますが、そのうち27箇所については非常警報装置が設置されています。未設置の12箇所のうち[国道にかかる地下道は7箇所][JRにかかる地下道は5箇所]となっています。
このうち[JRにかかる地下道]については、外部から見える点滅によって列車への影響が懸念され、安全性調整のため時間が掛かっていましたが、やっと合意が得られたので今年度中に設置する予定になっています。

6. 市税の前納報奨金が廃止されます

個人の市民税及び固定資産税に係る前納報奨金制度が平成22年4月から廃止されます。
これまで[特別徴収]の方はこの制度を利用できずにいましたので、税の公平性の観点から問題になっていました。
また「創設当初の目的を達した」「他市においても廃止しているところが増えてきた」ということで廃止するものです。これまで、市県民税では約1,500万円、固定資産税では約6,000万円の報奨金が支払われていました。
「ふぅむ。7,500万かぁ?」一人分は僅かでも、まとまると結構大きな金額ですね。

7. 平成21度版の[子育て応援特別手当]が支給されます

今年の春、定額給付金と共に対象者には[子育て応援特別手当]が支給されましたが、あれはあくまで平成20年度分です。
今回は21年度分として10月1日を基準日、12月11日以降に通知書発送の予定で支給されます。
小学校就学前3学年の子どもさん一人につき36,000円の支給は変わりませんが、前回は「第2子以降」が対象であったものを、今回は最初のお子さん(第1子)から支給することになりました。対象者には、12月中ごろに通知書が届くはずですよ。

8. 出産育児一時金を引き上げます

出産育児一時金

出産した際にもらえる出産育児一時金を、これまでの35万円から39万円に引き上げをします(これに産科医療補償制度の3万円が加えられますので実際には42万円となります)
国の[緊急少子化対策]の一環として今年の10月から平成22年度末まで1年半の期限付き実施です。が、民主党のマニフェストでは「出産育児一時金55万円支給」となっていますから、今後更に引き上げられるのでしょうね。

9. 新しい保健センター建設工事が始まります

新保健センター

そのための工事請負契約締結に関する議案が可決されました。
その中で気づいたのは「電気工事の落札率の低さ」です。入札参加企業8社中5社が、最低制限価格である落札率67%で入札をしていました。
現在建設中の市役所新庁舎建設工事でも電気工事は落札率67%でしたので、「電気工事業界は仕事を取るために採算度外視での過当競争」=「それほどまでに今の景気は落ち込んでいる」と言えるのではないかと思います。納税者の立場で言えば「公共施設が少しでも安く建設できればありがたい」とは思うのですが、こんな状態がいつまでも続いていることは決して良いことではないと思います。
尚、今回の建物、1Fは保健センター、2Fは子育て支援機能、3Fはトレーニング室など健康づくり事業の拠点といった構成です。

10. 刈谷市水道ビジョンを策定しました

これは刈谷市における水道事業の現状と将来見通しを分析・評価したうえで、「安心で安全なおいしい水の安定供給」のために目指すべき将来像と、その実現のための方策を示したものです。

【西三河各市の水道料金の比較(1月当たり税込金額)】
(平成21年7月調べ)

※豊田市φ13mmは、平成10年4月1日時点で継続使用している場合に限る。
市名 φ13mm φ20mm
基本料金 (円) 使用水量10m³の場合 使用水量20m³の場合 基本料金 (円) 使用水量10m³の場合 使用水量20m³の場合
岡崎市 546 1,228 2,562 997 1,680 3,013
碧南市 630 997 1,995 1,680 2,047 3,045
豊田市 829 1,680 2,530 934 1,785 2,635
安城市 630 1,155 2,100 1,050 1,575 2,520
西尾幡豆
広域連合
578 1,039 2,236 966 1,428 2,625
知立市 588 1,291 2,299 1,438 2,142 3,150
高浜市 577 1,087 2,253 1,564 2,074 3,240
刈谷市 514 1,092 1,932 798 1,375 2,215

ところで・・・刈谷市の事業の中で[水道事業]だけは独立した単独の企業会計だってこと知っていますか?
基本的には独立採算で、そこで働く職員も刈谷市から出向という形で、給料も刈谷市の一般会計から出ているのではなく、企業会計から支出されているのです。ですから、普通役所の会計には存在しない[減価償却]の文字も出てくるのです。そして、独立採算の収支バランスの中で[水道料金]も決まってくるのです。さて、その[水道料金]ですが、西三河8市の中ではダントツにお安くなってるんですよ。正に「企業努力の結果である」と良い点はきちんと評価したいと思います。(拍手!)

久しぶりの一般質問

9月議会一般質問では下記の2項目について約45分間、一問一答方式で当局の考え方を質しました。副議長を務めていたこの一年間は、本会議での一般質問を自粛をしていましたので、久しぶりの登壇ということになりました。終了後ある議員から「神谷君、久しぶりの一般質問で、なんだかイキイキしてるね」と言われましたが、確かに大勢の方に傍聴していただき、本当に気持ちよくやることが出来ました。やっぱり議会は「発言してナンボ」ですよね。

1. 妊婦健診について

昨年4月より刈谷市ではそれまで7回無料であった妊婦健診を14回まで無料に拡充しました。しかし実際に健診を受けられた方から「市の受診券で受けられるのは基本の部分だけで、実際には追加で受けなければいけない検診があり、それらは有料なのだ」との指摘をいただきました。答弁では「追加部分を全て市が負担すると年間3700万円必要」とのことでしたが、ぜひ追加部分も無料にして名実共に「14回の妊婦健診無料」となるように要望しました。

2. 災害時における避難所について

万が一大きな災害が発生した際、避難所での生活を余儀なくされることがあります。避難所に予定されているところは市内39箇所、その避難所における[水][電気][ガス][食料]といったものの確保について質問・提案をしました。いずれも前向きな回答でありました。


衆議院選挙の結果を受けて

8月30日に行われた衆議院選挙では「民主党308議席獲得!自民党大敗」という結果になり、9月16日には鳩山内閣が誕生して[政権交代]が実現しました。この結果を謙虚に受け止めると共に、地方議会の議員としては今後、法律や制度の廃止・変更などによって起きる混乱が地方行政に大きな影響をもたらさないように、注視して行かなければならないと思っています。

また、民主党は小沢幹事長の下、今後「地方組織の拡充」に力が注がれてくると思います。そうなれば、現在刈谷市議会には[民主党市議]は一人もいませんが、2年後の市議選には民主党候補が出てくることも十分あるはずです。これまで以上に、政策立案能力を磨き、行政チェック能力を高め、彼らと堂々と対峙して行けるように今のうちから準備を整えて行かねば・・・。今、衆議院選の結果を受け止め、これまで以上にファイトを燃やしています(キッパリ)!


マニフェスト型選挙の功罪

北川正恭氏による講演

9月14日、産業振興センターで行なわれた(社)刈谷青年会議所公開例会に出席しました。[マニフェスト型社会に向けて! 今、私たちに求められている責任とは]のテーマで、第1部は前三重県知事の北川正恭氏による講演です。今から6年半前に[マニフェスト型選挙]を提唱した北川氏からは、本来の[マニフェスト型選挙]の精神(目的・意義)を聞くことが出来ました。そして第2部は竹中市長によるマニフェストの進捗状況説明が行なわれました。

私自身もローカルマニフェスト推進議員連盟に所属し、2年前の市議選において議員としてのマニフェストを示し、日本においても[マニフェスト型選挙]が進むことを訴えていたのですが、ここへきて「本当にマニフェスト型選挙はいいことなのか?」と、疑問に思うようになってきました。

マニフェストは、以前のように「福祉の充実」や「地域経済の活性化」など輪郭をぼかしたスローガンが並んだだけの公約ではなく、具体的な数値目標や達成期日、財源の裏付けを持った政策を示し、後に実行したかどうかを検証できるプログラムであることが必要です。そのため有権者にとっては「具体的に何をやってくれるのか」が明確になり、投票する際の参考になるというメリットがあります。

しかし、今回の衆議院選挙を始めとして、実際の選挙においては次のような疑問を感じます・・・

  • マニフェストがばらまきのサービス合戦になってはいないか
  • 任期4年間だけの目先の政策ではなく、本来は数年後のビジョンを提示すべきではないか
  • 逆に、任期より長い目標を掲げても本当に責任が持てるのか
  • 今回の「高速道路無料化」のように、世論調査で反対が多くても、マニフェストで約束した以上実現に向けて無理にでも進めていってしまう心配はないか

などです。マニフェストは、後になってどれだけ実現できたか検証することが必要であると言われていますが、同時に[マニフェスト型選挙]の功罪についても検証し、まだまだ改善していく必要があると感じています。


「私学助成の拡充を求める陳情」採択!

今回の9月議会には4本の陳情が文教委員会に提出されました。そのうちの3本は内容的に同趣旨で、それぞれ国・愛知県・刈谷市に対して「私学助成の拡充を求める」ものでしたので、その3本とも私が自民クラブを代表して意見を述べました。内容は・・・

教育基本法では「私立高校も公立高校も『公教育』の場」と規定しています。しかし学費の父母負担と教育条件の[公私間格差]があるため、私立公立を問わず自由に学校を選ぶことが出来ず、『教育の機会均等』に反する状況になっています。

授業料の差

参考までに、公立高校の場合生徒一人当たり年間約90万円の公費が使われていますが、私立高校の場合は約40万円となっており、その差が教育環境や授業料の差(親の負担の差)となっているのです。

授業料の差

今回の民主党のマニフェストでは「公立高校を実質無償化する」と同時に「私立高校生のいる世帯に対して、年額12万円(低所得世帯は24万円)の助成を行なう」としていますが、これは公立高校の授業料は現在一ヶ月約1万円ですから「公立・私立ともに同じ金額の補助をする」ということであり、[公私間格差]を是正することにはなりません。授業料の補助と同時に、一般経常費助成の引き上げなど、私学への直接的な助成も拡充して欲しいものです。

公私間格差は是正されない

また、刈谷市でも独自の授業料助成を行なっており、平成20年にはそれまでの年間12,000円から18,000円に拡充をしました。所得制限なしに助成している自治体の中では最も高額の助成であり、その努力に対しては敬意を表しますが、目的はあくまで[公私間格差]の是正であり、国・県の助成が不十分で、[公私間格差]が生じている以上は刈谷市としても更なる増額をして欲しいとの要望をして、3つの陳情全て採択することにしました。