
今回の『今が旬』のコーナーは「ホキ」という聞き慣れない魚を紹介します。
このコーナーを立ち上げて既に4年。
つまり4回の四季が巡ったわけで、「ぼちぼち旬の魚はネタ切れ」といった感じなのであります。もちろん魚の種類はまだまだ数え切れないくらいあるのですが、私の会社で取り扱っている魚はどちらかというと大衆魚・輸入冷凍魚が多く、給食などで使う魚は種類も限られてしまうため、国産の生魚はほぼ一巡したといったところです。
そこで今回は、私の会社で最も取扱量が多く(つまり売れ筋商品ということか?)、私が魚屋を始めた25年前から価格も変わらず安定的に取り扱っている輸入冷凍魚の代表格「ホキ」の紹介です。
『今が旬』ではなく『年中旬』といった魚ですが・・・
みなさんスーパー等の店頭で「ホキ」が売られているのを見たことがありますか?
まず見たことはないですよねぇ!
では食べたことはありますか?
店頭で売ってもいない物、食べたことももちろんないですよねぇ!
いいえ、みなさんたぶん一年間にかなりの量の「ホキ」を口にされていると思いますよ。

この「ホキ」の調理法で一番多いのはフライです。みなさんが食べている白身フライの原料の多くはこの「ホキ」なのです。そういった意味ではタラの代用品とも言えるのです。白身でタラに近い食感がありますので代用品としてはうってつけなのですが、むしろこれだけ密かに消費されている「ホキ」にもきちんとした市民権を持たせてやりたい気もします。「ホキのフライ」「ホキ弁」「ホキバーガー」なんてのがあっても全然おかしくないと思います。いやむしろ「ホキバーガー」なんて非常にいいネーミングだと思います。
この魚の産地はニュージーランドやアルゼンチンの沖、水深200〜800メートルの大陸棚の縁。そこそこ深いところではあるけれども、1000メートルを超えるほどの深海でもないという中途半端なところです。トロール船で漁獲された物を船内でフィレ(三枚卸)にし、急速凍結して日本には輸入されています。
タラのフィレの半分ほどの値段で、私が25年間この魚を販売している期間、値段はほとんど変化なし。いまだに25年前の価格を維持しています。しかもフィレで入荷するため調理の手間もあまりかかりません。
「うまい・早い・安い」どこかの店のキャッチコピーではありませんが、「ホキ」は3拍子そろった素晴らしい魚です。