平成23年度
教育行政方針

刈谷市教育委員会

平成23年3月市議会の定例会にあたり、平成23年度の教育行政方針を述べる機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

教育長に就任以来、あいさつやお礼がきちんとできること、仲間はもちろん、お年寄りや障害のある人を大切にできることなど、いわゆる当たり前のことが当たり前にできる子どもたちの育成及び子どもたちの体力向上を最も重要なことと考え、学校教育に関する諸施策に取り組んでまいりました。また、市民の皆様が生きがいを持ち、生涯にわたって学んでいくことができるように、生涯学習の環境整備に努めてまいりました。これからもその思いや願いを一層強く持ち、教育行政の具体的な取組みを展開してまいります。

まず一つ目は、「学校教育の充実」であります。

学校教育に期待されていることは、子どもたちの「生きる力」を育むことであります。その育成に向け、次の6点を中心に施策を推進してまいります。


第1は、確かな学力の育成であります。

子どもたちが生きるうえで様々な課題に直面したとき、自ら考え、判断し、解決していくための力のもととなるのが「確かな学力」であります。

日常の授業において、これまでに身に付けた知識、技能、考え方などを用いて問題を解決することができる力を育てる学習を重視してまいります。

基礎的、基本的な知識や技能の定着のため、引き続き少人数授業の充実、発達段階やそれぞれの教科の特性に応じた指導の工夫に取り組んでまいります。特に、言語活動を重視し、自分の考えをまとめたり、表現したり、話し合ったりする授業の展開を図ってまいります。

新年度より、小学校5年生及び6年生に導入されます外国語活動への対応として、外国人英語指導助手を増員するとともに、外国語活動指導事例のDVDを作成するなど、その充実を図ってまいります。

また、高度情報通信ネットワーク社会の進展に対応するため、これまで以上に積極的なコンピュータやインターネットの活用を図り、授業の質の向上に努めてまいります。


第2は、健やかな体と感性豊かな心の育成であります。

体力は、人間のあらゆる活動の源であり、物事に取り組む意欲や気力などにも深く関わっており、人間の発達、成長を支える基盤となるものであります。この考えに立ち、本年度に取組みをはじめた「体力向上プロジェクト」を着実に推進してまいります。

子どもたちの豊かな感性を育むため、芸術鑑賞会をはじめ、生活創意工夫展、刈谷っ子ギャラリー、小学校における「バンドフェスティバル」、中学校における「スクールコンサート」など芸術、文化に関する事業を引き続き開催してまいります。

また、全小中学校で朝の読書タイムを設けていることで、子どもたちは落ち着いた雰囲気の中で本に親しみ、読書する習慣を身に付けてきております。学校の蔵書のさらなる充実と、学校図書館ボランティアの方との一層の連携を図り、読書が好きな子どもの育成に努めてまいります。


第3は、教員の指導力の向上であります。

教員は、常に子どもたちの模範となる存在であります。その自覚を促し、使命感、責任感、そして、誇りを持って指導ができる教員を育成するため、様々な研修を実施してまいります。その一つとして、子どもたちの体力向上を図るため、新年度には幼稚園、小学校及び中学校の教員を対象に、専門家による実技研修会を開催してまいります。


第4は、一人ひとりを生かし、安全で安心できる学校づくりであります。

学校は、安全な場であることはもちろんのこと、子どもたちの心の居場所となる、安心できる場でなくてはなりません。子どもたち一人ひとりの様々な良さが認められること、たとえば、学力だけでなく、絵が上手な子どもや親切な子どもなど、いろいろな面でに子どもたちが認められることを大切にしてまいります。

しかし、現実には不登校やいじめ問題があります。不登校対策として、「新たな一人を出さない」を合言葉に、新年度から愛称を「すこやか教室」とする適応指導教室との連携を深めてまいります。また、いじめ対策として、中学校に心の居場所づくりアドバイザーや心の教室相談員を配置し、子どもたちの心のケアや適切な教育環境づくりに努めてまいります。

また、日本語が十分に話せない外国にルーツを持つ子どもたちへの対応として、多文化共生の考えのもと、小中学校へ転入学する前に日本の言語や生活習慣などを学ぶ場であるプレスクールの充実に努めてまいります。

特別支援教育では、通常学級に在籍する発達障害のある子どもたちの学習をサポートする支援補助員を配置し、スムーズな学校生活への適応支援に努めてまいります。

新年度には、肢体不自由児童生徒への対応として、新たに介助支援員を配置し、小中学校に在籍する肢体不自由児の学校生活を支援してまいります。

安全対策として、スクールガードリーダーの配置、近隣の市町との様々な情報の共有化、小学校新1年生への防犯ブザーの配付、そして、防犯訓練の定期的な実施などを推進してまいります。


第5は、園、学校間の連携と外部の教育力を活用する学校づくりであります。

当たり前のことが当たり前にできる人づくりをめざし、子どもたちの発達段階に応じて、基本的な生活習慣を身に付け、共同生活をするうえでのルールを守り、生き方の基本を身に付けることができる指導を充実してまいります。そして、幼稚園、保育園、小学校及び中学校の一層の連携を図ることにより、子どもたちが、小中学校入学時などの環境変化にスムーズに対応できるよう努めてまいります。

また、生活創意工夫展、訪問科学実験、外国人日本語サポート、中学校の部活動指導、職場体験を中心としたキャリア教育、学校評議員などに、地元の優れた人材を積極的に活用してまいります。


第6は、安全、安心な教育環境の整備であります。

子どもたちがより安心して学校生活を過ごせるよう、施設整備や環境維持に努め、老朽化した校舎の大規模改造などを計画的に推進してまいります。

新年度は、衣浦小学校及び刈谷南中学校校舎の大規模改造工事を行い、小高原小学校及び日高小学校は大規模改造のための設計委託を、富士松東小学校は大規模改造とあわせて、増築のための設計委託を行ってまいります。

本年度、通学路にある全ての地下道に、非常警報装置の設置が完了します。今後も引き続き、子どもたちの登下校時の安全確保に努めてまいります。

学校給食は、バランスのとれた栄養豊かな給食を提供することで、成長期にある子どもたちの心身の健全な発達のために、大切な役割を果たしています。本年度から鶏卵アレルギー対応給食を実施しましたが、新年度は、飲用牛乳アレルギー対応も実施し、より安全な給食の提供に努めてまいります。

二つ目は、「生きがいをもつ生涯学習都市づくり」であります。

刈谷市生涯学習推進計画、文化振興基本計画及びスポーツマスタープランに基づき、生涯学習の推進をはじめ、芸術文化、スポーツの普及、振興など次の3点を中心に、各種事業の開催や市民活動への支援を行ってまいります。


第1は、生涯学習の推進であります。

市民一人ひとりが充実した心豊かな生活を送るために、市民の学習ニーズを的確に把握し、生涯にわたる多様な学習機会の提供を図ってまいります。

小学生には「キッズクラブ」、「放課後子ども教室」の開設、中学生及び高校生には「中高生の居場所」の開設と、成長期に応じた居場所づくり事業を進めてまいります。

青年には、多様な体験学習と交流の機会を提供する「ヤングカレッジ」、「ヤングゼミナール」事業などを実施してまいります。

成人には、身近な場所で様々な内容の「市民講座」を開催してまいります。特に、中央生涯学習センターにおいては、引き続き大学と連携した講座を開催し、高度な知識の習得をめざす市民に、より充実した学習機会の提供を図ってまいります。

高齢者には、年齢にふさわしい各種講座や社会見学を内容とする「高齢者教室」を通じて、生きがいをもった生活を送っていただくための一助となるよう努めてまいります。

生涯学習の推進には、身近に学べる施設の存在が重要であります。

社会教育環境のさらなる充実のため、社会教育センターを複合施設に生まれ変わる旧南庁舎に移転整備してまいります。

また、地区の生涯学習活動の拠点となる市民館の利便性を図るため順次進めておりますエレベータの設置については、新年度も5館に設置してまいります。

刈谷市民休暇村は、平成10年の開設から12年が経過し、一部に老朽化も見られるため、客室を中心に修繕を行い、快適な空間を提供するとともに、利用率の維持、向上に努めてまいります。


第2は、文化芸術の普及と振興であります。

市民の多様な文化活動に対するニーズに応えるための、各種事業を実施してまいります。

総合文化センターでは、新年度においても様々な文化振興事業を開催し、文化芸術作品を鑑賞する機会を提供するとともに、これからの地域文化創造の担い手となる、市民スタッフの募集、育成を行ってまいります。

また、市民の文化芸術の振興や文化活動の活性化を図るため、刈谷文化協会及び刈谷音楽協会に対する支援も行ってまいります。

伝統文化や文化財の保存、継承については、新年度、文化的遺産の散逸を防ぎ、後世に残すとともに、歴史研究に活用できる歴史博物館の基本設計を行ってまいります。また、改修工事を行っております郷土資料館は、昭和30年代の小学校の教室や一般家庭の様子など、高度経済成長期の暮らしを再現し、リニューアルオープンしてまいります。

また、本市にゆかりのある人物の紹介と顕彰を行う刈谷偉人伝は、本年度、刈谷藩初代藩主 水野勝成 を題材にDVDを制作し、小中学校の歴史教材や一般市民への歴史啓発資料として活用し、郷土愛の意識の高揚を図ってまいります。新年度は、フェライトの父と呼ばれる 加藤与五郎 を紹介し、歴史を後世に伝えてまいります。

市の大切な財産である、小堤西池のカキツバタ群落は、保存管理計画に基づき、関係機関と連携し、保護増殖に努めてまいります。

図書館は、市民に開かれた身近な「知の源泉」としての役割を果たすとともに、子どもの読書活動推進のため、学校やボランティアグループなどと連携し、協力体制の確立に努めてまいります。

新年度は、本年度に全国募集しました「第3回森三郎童話賞」への応募作品466点の審査、表彰を行ってまいります。あわせて、森三郎の生誕100年を記念して、森三郎を紹介する資料展示も行ってまいります。

美術館は、市民の皆様に、芸術作品に触れる機会を積極的に提供してまいります。

新年度は、「魅惑のモダニスト蕗谷虹児展」と「『ふしぎなえ』から最新作まで 安野光雅 の絵本展」の2本の有料企画展に加え、常設展示を実施し、美術の普及と啓発に努めてまいります。

また、昭和58年の開館以来2度目の大規模改修として空調機器の更新を中心に改修工事を行い、良好な展示環境となるよう施設整備に努めてまいります。


第3は、スポーツの普及・振興と施設整備であります。

スポーツの普及、振興のため、「第2次刈谷市スポーツマスタープラン」を着実に推進してまいります。新年度の活動プログラムの充実では、毎回、多くの市民の皆様の参加があります「かきつばたマラソン大会」や「GOGOウォーキング」を開催するほか、ニュースポーツを紹介する「スポーツふれあいDay」など、スポーツを気軽に楽しむことのできる環境づくりに努めてまいります。

また、ソフトボールをはじめ、バスケットボール、バレーボールなど刈谷市をホームタウンとして国内トップリーグで活躍するチームの試合を誘致し、観るスポーツ、ささえるスポーツの一層の充実に努めてまいります。

クラブ、団体の育成では、「総合型地域スポーツクラブ」の育成を、引き続きスポーツ振興の中心的な施策として推進してまいります。

施設の整備は、グリーングラウンド刈谷のサッカー人工芝コートを夜間にも活用していただくため、屋外照明を設置するとともに、刈谷市体育館西側からJR東海道本線までの逢妻川左岸河川敷を有効利用した施設整備を引き続き推進してまいります。

また、スポーツ振興の拠点施設としてのウィングアリーナ刈谷をはじめ、刈谷市体育館、刈谷球場など広く市民の皆様に活用いただいている施設についても、指定管理者と連携し適正な管理運営を行い、施設の利用促進に努めてまいります。


結びに、教育委員会の施策、活動については引き続き自己点検や外部評価を実施し、市民の皆様に教育委員会の果たす役割と、その意義を広く周知し、信頼と理解を得られるように努めてまいります。

また、教育行政に対する市民の皆様の期待に応えるため、教育施策を推進する所存でございますので、議会及び市民の皆様のご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げ、平成23年度の教育行政方針といたします。