議会運営委員会 視察研修所感

氏名 神谷昌宏

平成16年11月10日(水)〜12日(金)の3日間、議会運営委員会のメンバー9名と議長・副議長、当局2名の合計13名で行政視察に行って参りました。

視察項目は

  1. 千葉県鎌ヶ谷市 一問一答方式の一般質問
  2. 東京都小金井市 議会改革
  3. 東京都千代田区 議会投票システム

についてであります。

議会運営のあり方に「これで完璧」というものはありません。市民の付託に答え議員としての責務が十分果たせるよう常に運営方法を見直し、公正で公平・市民にとって開かれた議会に成るように改革を進めて行かねば成りません。そのために議会運営委員会では、各会派から持ち寄った『議会運営に関する検討事項』を常に議論しています。それらの議論を進めて行く中で、他市において実際に取り組んで見える状況を見聞きすることは非常に意義あることです。

私にとっては5年間の議員活動の中で初めての議会運営委員会です。先進自治体の現状をしっかり勉強して、『議会運営に関する検討事項』を議論する際の参考にしたい・・・そういった意気込みで今回の視察研修に参加しました。以下、視察地ごとに報告します。

  1. 千葉県鎌ヶ谷市 一問一答式の一般質問について

現在の一般質問を一問一答方式に替えてはどうか」という提案は、刈谷市議会においても以前から出されていましたが、私ども自民クラブとしては「現状のままでよい」ということでこれまで反対をしていました。私自身も一問一答方式とはどういったやり方なのかイメージとして明確に捉えることができず、その目的・意義についても否定的でありました。今回の鎌ヶ谷市における概要は

鎌ヶ谷市が長所として捉えている点

というものでした。これらのことから『一般質問における一問一答方式』をイメージとして判りやすく一言で表現するならば『常任委員会における所管事項での質問方式』と同じようなものであるということです。

「本会議と委員会とで質問できる内容もそのスタイルも同じであれば、委員会を持つ意味がなくなってしまうのではないか」との質問をしたところ、鎌ヶ谷市おいては「常任委員会での所管事項の質疑は行っていない。所管に拘わる質問はすべて一般質問として行う」とのことでした。

私の感想
国会において、本会議・委員会・党首討論などそれぞれ質疑応答のスタイルが違うように、本会議における一般質問と常任委員会における所管事項の質問とでは自ずと、そのスタイルが違っていてしかるべきだと思います。(なぜ違っていてしかるべきかを理論的には説明ができません、あくまで感覚的にそう思うだけですが・・)今回視察した鎌ヶ谷市の場合には常任委員会において所管事項についての質問ができません。しかし現在刈谷市議会においては『一問一答方式、回数制限なし』の質問は常任委員会において行うことができるのです。
また質問回数についても3回あれば十分議論の掘り下げはできると思います。民主主義における議論とは、無秩序に言い合いをするというものではなく、あくまで決められたルール(一般質問の場合は、事前に質問内容を通告すること、質問時間は60分、質問回数は3回まで)の下で活発な議論をすることであると思います。したがって、刈谷市議会においては『一般質問における一問一答方式』導入の必要はないと改めて感じました。
  1. 東京都小金井市 議会改革について

「議会改革について」とは非常におおざっぱな視察項目のようですが、この小金井市においては、各会派から提案された70項目にも及ぶ検討項目を議論し、そのうちの6割ほどを実施に移してみえました。こうした積極的に議会を改革して行こうという議員諸氏の意識の高さと、会派間の異なる意見をとりまとめて実施に移した議会運営委員長の指導力に大いに学ぶべきところがありました。もちろん、どんな改革を行ったかという内容そのものも非常に参考になりました。

改革に対する議員の意識の高さは、都市型議員が多いことに起因していると思われます。学生のまちゆえ、一回の選挙ごとに多くの有権者が入れ替わってしまう本市においては、所謂地域からの推薦をバックに立候補してきた議員ではなく、政党や市民グループからの議員が多く、議員の平均年齢は49.2歳、女性議員の多いことも特徴の1つで、24名の議員の内、9名の議員が女性でありました。与野党の議員構成も拮抗しており現在与党11名に対して、野党12名という状況で、こういったことが良い意味での議会の緊張感を生み出しているのだと思います。

70項目にも及ぶ検討項目については、既に刈谷市議会において実施している内容もあり、今後じっくり精査しながら「刈谷市議会においてもぜひ実施すべきだ!」と思われる内容については、ぜひ会派の中で議論し、議運の中に提案して行きたいと思います。

また今回、議会改革への積極的な取り組みの他に非常に刺激を受けた事柄としては、議員提出による条例・会議規則議案が多いことです。平成15年度だけで13件の議員提出案件がありました。話を聞くと市当局や議会事務局にもお手伝いを頂いて、条例案をまとめているとのことですが、私が議員になってから5年間のうちに刈谷市では一度もなかったことを考えますと、立法府の一員としてとても素晴らしいことだと思います。

「政策で勝負できる議員」を目標に更なる勉強の必要性を感じました。

  1. 東京都千代田区 議会投票システムについて
各議員の議案審議結果
添付資料1:各議員の議案審議結果

先ほどの、小金井市における「議会改革について」という視察テーマとは対照的に、極めて個別具体的な視察テーマでした。これは、本会議場における議員の賛否を電光表示するもので、議員ひとり一人が議案に対して賛成したのか反対したのかが瞬時に、議場正面の電光ボードに表示されます。そしてその結果は同時にパソコンにも記録され、本会議の会議録はもちろん、区議会のホームページ、区議会だよりにも掲載されています(添付資料1)。このことにより、議員ひとり一人の政治的責任を明確にすることができます。
確かに、これまでの刈谷市議会では、議会だよりを見ても議案に対して可決されたのか否決だったのかの結果しか判りません、せいぜい一部の会派が出している機関誌の中で会派ごとの態度を知ることができるのみでした。しかし我々議員は自らの発言や議会での態度に責任を持つ必要があると同時に、議員としての説明責任を果たすことも重要であると思っています。そういった意味では、この投票システムの導入は大いに賛成するところです。

その他、千代田区における議会改革の取り組みで参考になったのは、「現在は議員一人に一台のパソコンを貸与しているが、来年からは2台として、会議開催等の案内を今のFAXからパソコンに変えたり、将来的にはペーパーレス会議を目指す」というものです。そのために議員を対象としたパソコンの講習会を実施していました。また、現在新庁舎を建設しており、その庁舎完成の際には市民とのネットを利用した委員会も実施したいと考えてみえました。
刈谷市議会におけるIT化の議論も時代の流れとしてもう少し前向きに考える必要があるのではないかと感じました。

区議会だよりに掲載されている写真
添付資料2:区議会だよりに掲載されている写真

また、今回の議会改革とは直接関係のない事柄ですが、「区議会だよりに掲載されている写真が全て子ども達である」ということに感心しました(添付資料2)。広報担当の職員が保育園等に出向いて撮影しているということですが、こうすることで市民だよりに比べて読んで頂く機会の少ない(たぶん?)議会だよりが少しは市民の皆様にとって身近なものに成るのではないかと思います。