平成16年度 施政方針及び議案の大綱

刈谷市長


 平成16年3月市議会の定例会にあたり、所信の一端と、ご提案を申し上げております議案の大綱についてご説明を申し上げ、議会並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 昨年7月、皆様方の温かいご支援により、三たび市政をお預かりすることになり、新年度が実質3期目のスタートの年であります。
 私は、これまで2期8年間、安心、快適、活力、魅力の4つをまちづくりのキーワードとして、雨水、地震対策といった防災関連施策をはじめ、高齢者、障害者、子育て支援などの福祉施策の推進や、道路、公園、下水道などの都市基盤整備、1小学校区1幼稚園を目指した朝日幼稚園の建設など教育の充実、さらには、市民の足となる公共施設連絡バスの運行など、市民生活に密着した市政に取り組んでまいりました。
 各事業が概ね順調に進められましたことは、議会並びに市民の皆様のご支援とご協力の賜物と、ここに厚く御礼申し上げる次第であります。
 迎える今期におきましては、これまでの長引く景気低迷により、社会、経済が大きく変革し、国をはじめ地方自治体を取り巻く環境は、ますます厳しい状況であります。そうした中、これからの地方自治体は、将来にわたり行財政運営の安定と行政サービスの向上を目指すため、これまでの行政改革のような単なる量的削減の改革だけでなく、「行政を経営する」という理念に立って、市民との協働により、特色ある地域づくりを目指した行政運営をする必要があります。
 従いまして、刈谷駅南地区市街地再開発、刈谷ハイウェイオアシス、総合運動公園屋内体育施設などの継続的な大型事業をはじめ、防災対策、福祉、環境施策の推進、生活関連の都市基盤整備、さらには、教育環境の充実などに、今後、経営的な考え方を取り入れながら、積極的に取り組んでまいります。
そして、本市の都市像であります「人にやさしい快適産業文化都市」の実現に向け、より「魅力ある刈谷市づくり」を推進してまいりますので、今後とも皆様の一層のご支援ご協力を賜りますようお願い申しあげます。
 それでは、以下、平成16年度の主要施策と予算における基本的な考え方についてご説明申し上げます。

第一点目は、安心して生涯を託せるまちづくりであります。

第1は、災害に強いまちづくりです。
 災害から市民の生命と財産を守るため、防災関連施設や情報伝達網の整備、地域における防災体制の強化など、災害に強いまちづくりを進めていく必要があります。
 雨水対策につきましては、東海豪雨の教訓を生かし、これまで各種施策を積極的に推進してまいりました。新年度におきましても、「雨水総合対策整備計画」に基づき、準用河川や排水路の改修を引き続き実施するとともに、弁天排水機場の建設完了と逢妻川沿いの今川地区に(仮称)新馬瀬口ポンプ場の建設に着手してまいります。また、公園やため池を利用した雨水貯留施設の整備を進めるとともに、雨水対策を総合的、効率的に推進するため、組織機構の見直しをしてまいります。
 一方、懸念されております東海地震などへの対応といたしましては、「地震防災強化計画」に基づき、避難所となる教育施設や公共施設の耐震補強工事、ガラス補強、支援物資等の輸送路を確保するための橋りょう補強工事を行ってまいります。また、一般住宅の倒壊等による被害を最小限に抑えるため、木造家屋の無料耐震診断調査の実施や補強工事への助成、ライフラインの確保として耐震性に優れた水道管への布設替えを積極的に推進してまいります。
さらに、防災備蓄倉庫や資器材の整備、避難所となる防災公園への災害トイレ用マンホールの設置、迅速かつ正確な情報伝達の手段となる地域防災無線システムの整備など、災害時の初動、復旧体制の確立を図ってまいります。
 地域防災の面では、「自分たちのまちは、自分たちで守る」という、市民一人ひとりの自覚と市民相互の協力が不可欠であるため、自主防災会が行う防災訓練への支援や防災リーダーの養成など、市民と行政の協働による防災体制の強化に努めてまいります。

第2は、心やすらぐ生きがいのあるまちづくりです。
 生涯にわたり健康な生活をおくるためには、「自分の健康は、自分で守る」ことを基本に、正しい保健知識を持ち、健康づくりに積極的に取り組むことが重要であります。
 このため、健康意識の普及啓発や健康教育、相談等の事業を継続して実施するとともに、新年度におきましては、健康で元気なまちを目指す「健康日本21かりや計画」の啓蒙、推進を図ってまいります。また、自己の健康管理と健康的な生活習慣について学習する「かりやヘルスアップ大学」の開設や、脳疾患などの早期発見、早期治療と発生予防のため、脳ドック検診を新規に実施してまいります。
近年、高齢化が進み、高齢者福祉の重要性がますます高まるとともに、福祉のあり方も大きく変化してきています。生活弱者としての高齢者、障害者だけでなく、その介護にあたる人をも含めた総合的な施策が求められています。
 このため、高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉という領域ごとに策定された諸計画を取り込んだ総合的な福祉計画である「地域福祉計画」を、市民の参画のもと策定してまいります。
 高齢者福祉につきましては、高齢者が住み慣れた家庭や地域の中で生き生きと暮らすため、ねたきりにならないための予防策や、老人クラブ、シルバー人材センターなどの社会参加を促進するとともに、配食サービス、日常生活用具の給付、寝具の乾燥、消毒など、生活の自立支援を図ってまいります。
 また、介護保険施設につきましては、社会福祉法人が設置、運営する特別養護老人ホームなど、要介護者の様々な介護レベルに対応できる各種施設を積極的に誘致してまいります。
 障害者福祉につきましては、身体障害者との相互利用も可能な知的障害者授産施設「つくし作業所」を開設し、作業を通して自活に必要な訓練を行うとともに、就労の機会を提供し、障害者の自立を支援してまいります。さらに、重度重複障害者の運動機能の維持、向上と家族の介護負担を軽減するため、平成18年度の開設を目指し、社会福祉法人の通所施設整備に対し支援してまいります。

第3は、健やかに生まれ育つまちづくりです。
 少子化が進む一方で、核家族化、共働き家庭の増加等、子育て家庭を取り巻く環境は大きく変化してきており、このような環境変化に対応し、次代を担う子どもたちが、健やかに生まれ育つ環境を整えることが重要であります。
 このため、「次世代育成支援行動計画」を策定し、各種施策、事業の計画的な推進を図ってまいります。
また、待機児童の解消を図るため、「(仮称)おがきえ保育園」を建設するとともに、指定管理者制度を活用し、弾力的かつ効率的な園経営を目指してまいります。
 さらに、南部地区に新たに子育て支援センターを整備し、保護者の子育て不安や悩みの解消に努めるとともに、同じ世代の子どもを持つ親子が交流できる場の充実を図ります。
 乳幼児医療費助成につきましては、対象を就学未満児まで拡大することにより、将来を担う子どもたちの健やかな成長を目指してまいります。
 ひとり親家庭につきましては、家庭生活支援員の派遣や自立支援教育訓練給付金、常用雇用転換奨励金などにより、生活の安定と自立を支援してまいります。

第二点目は、快適な暮らしができるまちづくりであります。

 第1は、都市基盤の整備されたまちづくりです。
 快適な暮らしを実現するためには、都市基盤の整備が不可欠です。美しい景観を守り育てながら、機能とうるおいの調和のとれた市街地の形成を継続的に推進していく必要があります。
 このため、将来の土地利用や都市施設整備の方針を示す「都市計画マスタープラン」に基づき、長期的、総合的視野に立って、都市形成の重要な要素であります道路、公園、下水道等の整備を図ってまいります。
 道路整備につきましては、JRと名鉄により分断されている南北間の交通の円滑化と安全性の確保のために進めております市道2−581号線や小山踏切立体交差事業、南北縦貫道路の一部となります西境地区の市道01−4号線など、道路新設改良事業の早期完成を目指すとともに、刈谷駅南地区市街地再開発事業に併せた高須線の拡幅改良や、旧依佐美送信所跡地利用計画に基づく市道3−270号線クランク解消等にも着手し、積極的な事業展開を図ってまいります。
 また、通過交通量の増加に対処するため、名豊線、衣浦豊田線、名古屋岡崎線などの事業促進について、国や県に要望するとともに、本市としても早期完成に向けて協力をしてまいります。
 公共下水道の整備につきましては、平成15年度末には普及率63パーセントを超える見込みでありますが、引き続き処理区域の拡大に努め、生活環境の向上及び河川等の水質保全を積極的に推進してまいります。
 また、良好な市街地整備のため、小垣江駅東部や野田北部など各地区の土地区画整理事業を積極的に推進し、土地利用の増進を図ってまいります。
 さらに、平成17年度の完成を目指し、中山住宅の改築に着手するなど、老朽化した市営住宅の建て替え整備を順次進めてまいります。

第2は、環境保全対策の推進です。
 環境問題は、現代社会が抱える重要な課題の一つです。私たちは、水や緑など豊かな自然の保全に努め、良好な環境を後世に引き継がなければなりません。身近な生活環境から地球規模までの環境保全と資源の有効利用を図るため、市民、事業者、行政の協働による環境負荷の少ない循環型社会を構築することが必要であります。
 このため、本3月市議会において提案させていただいております環境基本条例の基本理念に沿って、市民が快適に暮らすことができる環境保全施策を総合的、計画的に推進していくための「環境基本計画」を策定してまいります。
 また、刈谷市環境センターが完成したことにより、し尿及び浄化槽汚泥を適正かつ安定的に処理し、環境保全に努めてまいります。
 さらに、ごみの分別収集につきましては、順次、分別の種類を増やしてまいりました。新年度からは、新たに紙製容器包装ごみの分別収集を実施し、一層のごみ減量と資源の再利用を推進してまいります。
 従来から行っております環境教育、実践活動、ごみ減量化などを引き続き実施することにより、環境への理解と啓発を一層図っていくとともに、低公害車購入費補助、住宅用太陽光発電システム設置費補助、生ごみ処理機購入費補助などの各種補助制度により、環境にやさしいまちづくりの推進に努めてまいります。

第3は、人にやさしいまちづくりの推進です。
 だれもが安心して社会参加のできる環境を整備することが、人にやさしいまちづくりの基本であり、市民一人ひとりが、相手の立場を尊重し、お互いに助け合う互助の精神を培う中で、ノーマライゼイション社会の形成を進めることが重要であると考えております。
これまで高齢者や障害者の方々をはじめ市民の皆様が、公共施設や公共交通機関を気軽に利用できるよう、段差の解消やエレベータの設置など、バリアフリー化を進めてまいりました。新年度におきましては、病院、診療所、金融機関など公共性の高い施設に対して、バリアフリー改修費用の一部を補助し、人にやさしいまちづくりの一層の推進を図ってまいります。
また、駅を中心に周辺道路や駅前広場などのバリアフリー化を計画的に進めるための「交通バリアフリー基本構想」を策定してまいります。
さらに、新年度には、人と車が輻輳する刈谷街道踏切の改良や、利用者の利便性の向上を図るため、名鉄一ツ木駅駅前広場の整備を進めてまいります。
 公共施設連絡バスにつきましては、昨年10月から各路線とも毎日運行に拡充したところであります。今後も必要に応じて停留所に屋根やベンチを設置するなど、広く市民に利用されるよう努めてまいります。
 犯罪や交通事故のない安全で安心できる生活環境の実現は、住みよい都市の基本であり、すべての市民の願いです。
このため、防犯灯や交通安全灯を引き続き計画的に設置するとともに、地域が一体となって取り組む防犯活動を支援してまいります。

第三点目は、活力と希望にあふれるまちづくりであります。

第1は、個性豊かな特色ある教育の推進です。
 学校教育におきましては、子どもたちの学力向上はもとより、個性的で創造性に富み、社会変化に主体的に対応できる人間形成に努め、豊かな心とたくましい人格をそなえた児童生徒の育成が重要であります。
 子どもたちの学力向上を図り、学習の基礎、基本の確実な習得と個々の児童に応じたきめ細かな指導を行う少人数授業につきましては、加配教員をさらに増員し、指導の充実に努めてまいります。
また、自ら課題を見つけ、子どもが主体的に判断し、解決する資質や能力を育成する「総合的な学習の時間」の充実や、思いやりや感動する心など「豊かな心」を育む教育として、音楽や読書活動の推進、ボランティア活動の充実などを図ってまいります。
施設整備につきましては、東刈谷小学校、富士松南小学校の大規模改造に併せた耐震補強工事、小垣江幼稚園の改築工事とともに、刈谷東中学校はじめ8校の小中学校体育館に耐震補強工事を実施し、児童生徒が安全に学習、生活できる教育環境の整備に努めてまいります。
 また、IT社会へと急速に変化する時代に対応するため、中学校に校内LANを整備し、情報教育の推進を図ります。

第2は、地域の特性を生かした市街地活性化の推進です。
 刈谷駅周辺につきましては、本市の顔としてふさわしい開発や環境づくりが重要な課題であり、都市イメージを創造する拠点として高度な土地利用を図る必要があります。また、2005年開港予定の中部国際空港へのアクセス拠点としての役割も求められ、刈谷駅周辺の整備は本市の将来の発展に欠かせない大きな事業であります。
刈谷駅南地区の市街地再開発につきましては、昨年4月に都市計画決定がなされましたので、事業実施に向けて、今後も引き続き積極的な事業推進に努めるとともに、周辺街路等の整備についても計画的に推進してまいります。
 また、刈谷駅北口につきましては、アーバンフェイス整備事業として、駅前広場の拡張整備などを進めてまいります。
 さらに、中心市街地につきましては、「中心市街地活性化基本計画」に基づき、本市の歴史、文化、さらにはわが国を代表する企業が立地するという特性をふまえ、市街地の整備と商業等の活性化を図ってまいります。
 新たな公共交通網整備の一環として、JR刈谷駅と東刈谷駅の中間に予定しておりますJR東海道本線新駅設置につきましては、市民が利用しやすい駅となるようJRと協議しながら推進し、将来の新市街地の拠点として整備してまいります。

第3は、バランスのとれた産業の振興によるまちづくりです。
 本市は、これまで県下を代表する工業都市として発展してまいりましたが、依然として続く厳しい経済情勢の中、引き続きその活力を維持していくためには、自動車産業に加えて新規産業の誘致に取り組むとともに、商店街の活性化や、地域農産物の特産化と消費拡大を図るなど、農業、商業、工業のバランスのとれたまちづくりを進めていくことが大切であります。
 農業の振興につきましては、農地の有効利用と生産性の向上のため、農道や排水路の整備、用水路のパイプライン化などの基盤整備を図ってまいります。
また、近年、農業従事者の高齢化、兼業化が進み、後継者不足は深刻な問題となっております。農業の将来を担う後継者にとって魅力とやりがいのある農業とするため、農地の面的集積や経営規模拡大への支援を積極的に推進してまいります。さらに、消費者ニーズにあった品種の導入やブランド化など、農産物の特産化事業に助成し、地域農業の活性化に努めてまいります。
 商業につきましては、個人消費は低迷を続けており、小売業を取り巻く環境は依然として厳しいものがあります。特に、商圏の多極分散化や市民ニーズの多様化などにより、商業集積の中心地であった市街地は活気を失い、商店街は空洞化が進んでおります。このような中、商業者自身がそれぞれの地域の特性を生かし、まちづくりと一体となった魅力ある商店街づくりを推進することは、大変重要な課題であります。
このため、商店街が実施する空き店舗を活用したコミュニティ事業などを引き続き支援し、商店街の活性化を推進してまいります。
 工業につきましては、本市は先人及び企業関係者の不断の努力により、県下有数の工業都市として発展してまいりました。バブル経済崩壊後、長く続いておりました景気低迷も、昨年より幾分持ち直しの動きがあり、明るい兆しも見えてまいりましたが、産業界全体のものとは言えず、予断は許されない状況であります。
 特に、不況の影響が大きい中小企業に対しましては、安定した経営基盤づくりのため、商工会議所の中小企業活性化支援センターの活動支援や、制度融資、信用保証料補助を引き続き実施するとともに、新たに中小企業の新製品、新技術等の開発マネジメント支援を実施してまいります。
 さらに、中小企業事業者のビジネスチャンスの開拓や異業種交流を目的とした産業展を開催するなど、地域産業の活性化に努めてまいります。

第四点目は、うるおいと楽しさあふれるまちづくりであります。

第1は、人と自然がふれあう緑豊かなまちづくりです。
 都市化が進み、草花や多くの木々が減少しつつある中、人々の心にうるおいをもたらし、安らぎを感じさせてくれる自然の役割は、重要性を増しています。こうした貴重な財産である自然環境を守り、育て、次世代に引き継ぐとともに、その自然を生かした市民の憩いの場づくりが大切であると考えております。
 岩ヶ池公園につきましては、「人と自然と道との交流」をテーマに、自然とふれあうことのできる緑豊かなハイウェイオアシスとして整備を進めており、新年度中には公園休憩施設が完成し、刈谷の文化と伝統を全国にPRする施設として、刈谷パーキングエリアの開設に併せて供用を開始する予定となっております。
 逢妻川緑地につきましては、総合運動公園と桜づつみとの一体的な河川空間を創造するため、平成17年度の完成を目指して逢妻川横断歩道橋の建設を進めてまいります。また、日高公園につきましては、梅の植栽を進めますとともに、園路の改修等を行い、自然とふれあうことのできる緑豊かな公園として整備してまいります。
 旧依佐美送信所跡地周辺につきましては、「花と緑」をテーマに、広大な田園風景が広がる周辺の景観と調和した公園として整備を進めてまいります。また、刈谷小垣江駅東部土地区画整理区域内に新たな都市公園として、「(仮称)かみひろ公園」を整備してまいります。

第2は、生涯学習の推進によるまちづくりです。
 余暇時間の増大や高齢化が一層進む中、心豊かで充実した人生を送るためには、市民の生きがいや自己実現を導く生涯学習が、欠くことのできないものです。誰でも、いつでも、どこでも学べる生涯学習社会を実現するため、様々な学習機会の提供と、拠点となる学習施設や体制の整備が必要であると考えております。
 新年度におきましては、生涯学習活動を体系的、総合的に展開していくため、平成17年度から10年間を計画期間とする、新たな「生涯学習推進計画」を策定してまいります。
スポーツの普及につきましては、総合運動公園を市民のスポーツ、レクリエーションの拠点として整備するため、多目的グラウンドの改修工事を引き続き進めるとともに、平成18年度の完成を目指して、屋内体育施設建設に着手してまいります。さらに、市民の誰もが、気軽にスポーツに親しむことができる総合型地域スポーツクラブの育成、定着に取り組んでまいります。
 また、図書館におきましては、広く市民の皆様が読書に親しんでいただくため、インターネットによる蔵書検索が可能な新しい図書館システムを導入してまいります。

第3は、人の集まる魅力あふれるまちづくりです。
 かつて城下町として栄え、於大の方のふるさとでもある本市には、有形無形の歴史的文化遺産が数多くあります。特に、万燈祭と大名行列につきましては、後世に伝えていくべき刈谷の伝統行事として、市民の皆様に親しんでいただけるよう、引き続き支援してまいります。
 そのほか、観光基本計画の推進と観光イメージの高揚を図るため、観光協会が開催いたします各種事業にも支援してまいります。
 また、本市出身の童話作家森三郎氏を、刈谷市を代表する文化人の一人として称えるとともに、刈谷市を全国にPRするため、「森三郎童話賞」を創設し、次代を担う子どもたちに語り継がれる童話を募集してまいります。
 さらに、美術館におきましては、質の高い芸術にふれる機会を充実するため、所蔵作品などを常設展示するとともに、企画展といたしまして「イジー・トゥルンカ展」「花物語−かぐわしき四季の香り展」を開催し、市民の文化的な活動や鑑賞の機会を幅広く提供してまいります。

予 算 の 大 綱

 次に予算の大綱についてご説明申し上げます。
 我が国の経済につきましては、一部に明るい兆しが見られるものの、全般的には依然厳しい状況が続いており、引き続き先行きには不透明感があります。
 このため、国の平成16年度予算は、これまでの「改革断行予算」という基本路線を継続し、経済の活性化を図るため「基本方針2003」に基づき、公平で安心な高齢化社会、少子化対策など、活力ある経済、社会の実現に向けた重点4分野に、重点的かつ効率的に配分した予算となっております。
 こうした状況の中、本市におきましては、市民ニーズを的確に捉えるとともに、行政評価の手法を取り入れ、事業効果、緊急性などを考慮した予算配分を行い、市民福祉の向上に努めてまいりたいと考えております。
 平成16年度当初予算につきましては、災害に強いまちづくり対策、循環型社会の構築を目指した環境対策、子育て支援施策、安全な暮らしを確保するための防犯対策などを重要施策と位置づけ、魅力と希望にあふれ、安心して快適な暮らしのできるまちづくりを目指した「うるおいと希望に満ちた安心快適予算」とさせていただきます。
 予算の概要につきましては、一般会計では505億5,000万円で、これは前年度当初予算と比較しまして、13.6パーセントの増であります。なお、平成16年度におきましては、平成7年度、8年度に借り入れました減税補てん債の借り換え31億3,490万円がございますので、これを差し引きました実質的な一般会計の伸びは、6.5パーセントとなっております。
 また、土地区画整理事業、下水道事業、介護保険等特別会計は、276億3,483万1千円、水道事業会計は45億46万9千円で、これら全会計の総合計は826億8,530万円で、前年度と比較しまして10.5パーセントの増となっております。
 この内、一般会計の歳入につきましては、歳入の根幹をなす市税が303億806万3千円で、前年度と比較しまして、4.6パーセントの増を見込んでおります。
 次に歳出につきましては、構成比で最も大きな割合を占めているのは、都市基盤整備、災害対策を中心とした土木費で、30.0パーセントの151億5,395万8千円であります。
次いで、子育て支援、高齢者、障害者福祉を中心とした民生費で、19.0パーセントの96億3,150万1千円、次に、教育費の13.6パーセントの68億5,619万2千円であります。なお、歳出に占める投資的経費の割合は、26.7パーセントであります。

一 般 議 案

 次に一般議案についてご説明申し上げます。
 今回提案しておりますのは、報告案件1件、単行議案4件、条例議案13件であります。
 まず、報告案件につきましては、刈谷市土地開発公社の平成16年度事業計画及び予算についての報告であります。
 単行議案の主なものにつきましては、公平委員会委員の選任について議会の同意をお願いするもの、工事委託協定の締結について議会の議決をお願いするものであります。
 次に、条例議案の主なものにつきましては、保育所の管理運営を指定管理者に行わせるため、刈谷市立保育所に係る指定管理者の指定に関する条例を制定するもの、良好な環境の確保に努めるため、刈谷市環境基本条例を制定するもの、国民健康保険税の公平化、低所得者に対する負担の軽減を図るため、刈谷市国民健康保険税条例を一部改正するものであります。
 このほか、一般会計、特別会計合わせまして6億9,010万円を追加する平成15年度補正予算も提出いたしております。
その主な内容は、一般会計の歳入において、市税、国庫支出金の追加であり、歳出は基金への積立、事業費の減額などであります。
また、火葬棟改修事業の継続費補正、及び、排水路改修事業等におきます繰越明許費補正も同時にお願いしております。
 今回も多くの方々からご寄附をいただきました。心から厚くお礼申し上げます。
以上、平成16年度を迎えるにあたり、所信の一端と提出議案の概要を述べさせていただきました。
 議員各位並びに市民の皆様の深いご理解とご協力をいただき、刈谷市の都市像であります「人にやさしい快適産業文化都市」の実現に向けて、職員ともども全力を尽くす所存であります。
 ご提案申し上げました諸議案につきましては、よろしくご審議賜りご賛同くださいますよう心からお願い申し上げ、説明を終わらせていただきます。