政務調査についての所感

自民クラブ 神谷昌宏

 平成18年1月15日(月)〜17日(水)の3日間、自民クラブのメンバー8名(副議長含む)と公明クラブのメンバー1名の総勢9名で行政視察に行って参りました。

視察項目は

 @宮崎県宮崎市 障害者総合サポートセンターについて
 A宮崎県都城市 総合文化ホールについて
 B熊本県玉名市 玉名21の星事業について であります。

 それぞれの項目毎に報告いたしますと

@ 宮崎県宮崎市 障害者総合サポートセンター
  1. 設置の経緯及び目的について

     平成16年度に国の障害保健福祉施策について新たなグランドデザイン案が示されたことを受け、障害者自立支援法の制定に先駆けて、平成17年4月に、障害児(者)の地域での自立と自己実現を促進するため、身体・知的・精神の3障害を対象に、就労・生活・余暇活動を総合的かつ効果的に支援する拠点として設置されたものです。

  2. 活動内容について

    @ 障害者ワークサポーター派遣事業
    A 心身障害児(者)療育等支援事業
    B 身体障害者生活支援事業
    C 障害者余暇支援事業

     ※ 上記事業の実施のほか、毎月2回、サポートセンターの調整会議を開き、受託事業所のほか、協力機関などの関係機関を交えて、事業の実績報告、事例研究、自立支援法勉強会等を行うことで連携強化を図っているとのことです。

     また、福祉まつり等のイベントでブースを設置したり、広報紙やチラシ等を活用したPRを行ったりすることで、センターの周知活動も行っているようです。

  3. 利用状況について

    @ 平成17年度の相談・支援等件数                10,714件
     (手段別内訳:電話4,703件、訪問3,919件、来所2,092件)
     (障害別内訳:身体5,186件、知的3,379件、精神490件、その他1,659件)

    A 平成18年度の相談・支援等件数(平成18年12月末現在)     9,679件
     (手段別内訳:電話3,999件、訪問3,916件、来所1,764件)
     (障害別内訳:身体4,474件、知的3,666件、精神574件、その他965件)

  4. 事業の効果及び今後の課題について

    @ サポートセンターの協力機関として同じ事務所で業務を行っている「みやざき障害者就業・生活支援センター(平成15年4月開設。平成17年4月に宮崎市へ移転)」の就職者数が、平成16年度は12件、平成17年度は27件、平成18年度は31件(12月末現在)と、就労実績が順調に伸びていました。

    A 就労定着支援を行うワークサポーターや余暇支援講座を支援するボランティア等の育成が順調に行われており、障害者に対する市民意識の醸成が図られてきているとのことです。

    B 障害者自立支援法に基づく地域自立支援協議会を平成19年2月を目途に設立し、これまでのサポートセンター調整会議等のネットワーク機能を移行することで、協議会の中核的な役割を担う考えであるとのことです。

     以上が調査項目に対する回答です。私は今回の[障害者総合サポートセンター]の業務の中で、特に[就労に関する支援]がどのように行われているかについて関心を持っていました。と言うのは、支援費制度から障害者自立支援法に変わったことにより、この[就労に関する支援]に国としては力点が置かれているように思っているからであります。そこで、「この就労に関する支援として、就労先の掘り起こし、たとえば就職説明会を開くとか、事業者からのプレゼンの場を設けるなど、そして実際に就労先を斡旋するなどといったことを行っていますか?」という質問してみましたが、残念ながらその点については、ジョブコーチ支援事業の斡旋や公共職業安定所への登録斡旋までに止まっている程度でありました。就労した後職場への定着を図るための制度としてはワークサポーターという制度がありました。
     このワークサポーターについて少し触れますと・・・
     障害を抱えながらの就労は、悩みが多く、解決策も見つからないまま、なかには離職してしまう方がいます。そのような方々を少しでも減らすために、週1回程度ワークサポーターが出向き、障害者を雇用している事業所の相談を受けたり、働いてる障害者の悩みを聞いて不安を解消するためにサポートしていくのがワークサポーターです。また、障害者の職場定着を図りながら地域社会の中で自立した生活を送ることを手助けします。

     今回、[就労に関する支援]の分野では、残念ながら期待していたような事業ではありませんでした。障害の就労というテーマについては、(もちろん障害の程度にもよりますが)、基本的に「就労を通じて社会に参画している」という意識を持っていただくことは大切なことであります。従って、単に[日中一時支援]などにより施設で時間を過ごすということでなく、できれば[就労移行支援]などの形が取れるとよいと思いますが、国の施設基準の点で難しいのであれば、[日中一時支援]の中で「就労を通じて社会に参画している」という仕組みを、刈谷市としても付加できるような制度にしてゆくべきではないか・・・・議論がやや飛躍をしている感がありますが、今回の視察における[就労に関する支援]の地方自治体としての取り組み方を見てそのように感じました。

A 宮崎県都城市 総合文化ホールついて

 昨年10月に開館したこの[都城市総合文化ホール]を視察するに当たって私は大きく2つのテーマを持って臨みました。1つは、施設のハード面での特徴・良い点・完成後に感じた反省点など、今後刈谷駅南口に作られる市民ホール建設に向けて、(既に大きな設計変更は不可能であると思いますが)細部についてここで学んだことを生かすことは出来ないかということです。そしてもう1つは、運営面では指定管理者を導入していましたので、その点で刈谷市での運営に生かしたいという思いです。

 そこで先ず、ハード面で施設を見学し説明を受けた中で感じたポイントを箇条書きにしますと・・・

次に、運営の問題点などを箇条書きにしますと・・・

 今回、この視察で学んだ点(上記箇条書きの事柄)については、今後刈谷駅南口への市民ホール建設の中で生かして行けるよう、それぞれの項目について早急にチェックしたいと思っています。

B 熊本県玉名市 玉名21の星事業について

 玉名市は平成17年10月に1市3町で合併しました。この[玉名21の星事業]というのは旧玉名市において行われていた[一区一輝運動]を合併した3町に広げ、継続・発展させている事業です。市内の21の小学校区をコミュニティの単位として、住民の皆さんに地域づくりに取り組んでもらい、コミュ二ティの自治、自立と活性化を促進しようというものです。

 校区の資源や特性を生かした地域づくり事業やコミュニティの自治・自立のための事業に対して、市は企画課及び各総合支所総務振興課を窓口に助成金をはじめとする様々な支援を行っていました。 旧玉名市においては既に[一区一輝運動]として行われていましたので、旧玉名市の13校区と新たに合併により玉名市となった8校区とでは事業の進捗状況に数年間のタイムラグがありましたが、事業の期間と助成する額は下記の通りです。

1) 岱明・横島・天水自治区(8校区)

 @助成期間は、平成18年度から平成21年度までの4ヶ年
 A「まちづくり計画」策定及びこれに伴う委員会活動に対し、各校区50万円を限度として助成
 B「まちづくり事業」については、各校区500万円を限度として助成
 C「まちづくり事業」の助成金については、「まちづくり計画」の内容・予算等

を各地域協議会での審査を経て、概算額を交付

2) 玉名自治区(13校区)

 @助成期間は平成18年度から21年度までの期間で、単年度ごとの申請による助成
 A「まちづくり活動」は、費用の5分の4以内とし、30万円を限度として助成
 B内容・予算等を玉名地域協議会での審査を経て、概算額を交付

「まちづくり事業」、「まちづくり活動」は概ね以下のようなものでした。

 祭り・イベントについては、既存のものには助成をしないという方針で、どの校区も正に「競い合うように」バラエティーに富んだ素晴らしい事業を活発に展開していました。元々は地元からこういった事業の要望が出たわけではなく、市長のいわばトップダウンで行われたとのことですが、平成16年には延べ参加者約24000人という市民あげての大きな事業に発展していました。

 今、[市民と協働のまちづくり]ということが言われていますが、それぞれの校区の特徴を生かし、そのことでまたコミュニティーの絆を強めることの出来る良い事業であると思いました。「団塊の世代が地元へ帰ってくる」と表現されている今後の自治会のあり方・まちづくりのあり方として、刈谷市としてもこういった制度を前向きに検討する価値があるのではないかと思いました。